体、ベクトル空間、そして部分空間へ その1
〇まず、定義について
体というのは四則演算について閉じている集合を指します。
例えば、複素数、実数、有理数は体ですが、整数、自然数は体ではありません。
なぜかというと、1÷6の場合について考えると、整数同士の割り算ではありますが、
演算結果は分数であり整数となっていません。自然数も同様の理由です。
次に、ベクトル空間(抽象的)について話します。
集合Vについて和とスカラー倍
・任意のVの元同士の和も集合Vの元
・任意のVの元と任意のKの元のスカラー倍の元
となるように定義されていて、次の8つの条件が満たされているとき
体Kのベクトル空間といいます。
(1)和について結合法則が成り立つ(和の順序を変えても結果は変わらない)
(2)和について交換法則が成り立つ(文字を入れ換えても結果は変わらない)
(3)和についての単位元が存在する(足しても結果が変わらない元がある)
(4)和について任意の元に対して逆元が存在する(足すと単位元になるもの)
(5)ベクトルの分配法則が成り立つ
(6)スカラーの分配法則が成り立つ
〇ざっくりと解説
私たちが最初の習うようなベクトルは数ベクトルといって今回紹介したベクトルとは
違うものとなっています。今回のベクトルは簡単にいうと”こういう条件を満たしたも
のは全部ベクトルと呼ぼう”といった感じです。
なんでそんなこととするかというとそするとさまざまなものの空間(関数による空間、
数列、行列・・)をまるごとベクトル空間として扱えるようになり便利になるからです。