複素数列の極限はどう考えればよいのか
複素関数論は変数が複素数である関数について勉強する分野である。
基本的には、ふつう(実数の場合)の微積分と同じように数列の極限から入ることになる。
つまり、カリキュラム的に複素数の数列、複素数列について考えるのがはじめの一歩である。
では、複素数列における極限とはなんだろう?収束するというのはなんだろうということになる。果たして実数列で考えられたことを複素数列に拡張できるだろうか?
〇複素数列における収束の定義
先に定義を述べてしまおう。複素数列の収束の定義は
liman=α ⇒ lim|an-α|=0
である。
この定義を解説するために次の命題を追加したい
命題 複素数列(αn)nに対し、
αn=an+ibn,α=a+biとおくと、
lim|αn-α|=o⇒liman=a,limbn=bとなる。
この命題のポイントは複素数を実部、虚部にわけていることによって、実数列における収束の知識で私たちはこれに立ち向かうことができる。
さて、定義の解説をしたいと思う。
大事なところは複素数が2次元の数だというところだろうか。なので、複素数の絶対値が採用されている。図をイメージすると、実数列は長方形のような接近の感じだが、複素数列は円である。
実数列でいえた極限の性質は複素数列の極限でもいえる。極限の性質というのは、収束する2つの数列の四則演算の極限は、各数列の極限の四則演算と同じ値になることをさしている。
大学では、2変数関数の連続条件の後に、このことを勉強するだろうが、それは複素数列の収束が、2変数の連続のイメージと似ているからだと私は思っている。