あれ?自然数はペアノの公理で考えるんじゃなかったけ?と思ったあなたへ
前に連鎖という概念から自然数を定義しました。
ただ、こういうのに詳しい方はこう思ったのではないでしょうか?
実は私もペアノの公理のほうが先に知ったので、
このような違和感を感じたのは間違いありません。
しかも、連鎖という概念はあまり流通してないので、
連鎖で定義するのとペアノの公理でやるのとでは何が違うのかが
気がかりでした。
で、最近それがわかってきたのでその違いについて話していきます。
違い~どこを議論の出発点にしているか?~
結論を先に出すと「どこから議論をはじめているか」です。
連鎖は実数から (実数→自然数)
出発しているのです。
現に連鎖の定義を確認すると
”実数の部分集合Mについて、2つの条件を満たすものを連鎖という(以下省略)”
となっており、実数の定義が前提になっていることがわかります。
先に述べたように、連鎖という概念はネットではあまり見かけず、
わたしが知るところではこの本しか書かれていません。
なので、ぺアノの公理で考えるほうがポピュラーであるといえます。
なぜ、「実数論講義」では、連鎖を採用しているのか?
この本は実は微分積分学のための実数論として書かれた本です。
それで、著者曰く「微分積分の準備としての実数論は、ペアノの公理系よりも
実数そのものの公理系から出発したほうが手短でいい。そうすることでスムーズに微分
積分学につなげられる。」とのこと。確かに、連鎖による定義はすっきりしている印象
を受けました。著者の読者に対する配慮が感じられますね。
終わりに
今回は、自然数をペアノの公理で定義するか連鎖でするかの違いについて書かせていた
だきました。
ペアノの公理以外にも自然数を定義する方法があったのは驚きでした。
それではまた。
※ペアノの公理や整数から出発して実数を考える方法について書かれている本↓