オイラーすげーって思った問題(バーゼル問題)
ぶっちゃけ、結構前の話です。去年の4月のことなんですけど・・・
なんとなくこの本を読んでいたんですよ
この本↓
この本でオイラーが証明したバーゼル問題という問題が出できたんですよ。
なんでその話を今回しようと思います。
⚪︎バーゼル問題とは?
バーゼル問題に入る前にまずつぎの問いについて考えてみましょう。
という問い。
この問いは実はそんなに難しくありません。高校数学の知識があれば大丈夫です。
部分分数分解を使うわけですね。
入試だと、単純に級数を求め時に使ったり
積分する際のテクニックとして使われますね。
今回の場合、部分分数分解を使うことにより、右辺が2に収束することがわかりましたので、
平方数の逆数の和を無限に足したものは2より小さいことがわかりましたので、
収束することがわかりました。
ついでに他の方法も追加しておきます。
面積を比べる方法です。(厳密でないかも)
この方法でも2より小さいことがわかりました。
このように収束判定するだけならそんなに難しくないんですが、
バーゼル問題では、ここから一歩進んで
"どんな値に収束するか"
という問いになります。
これ結構難問って扱いをされていました。
さぞかし複雑な解き方なんだろうと当時の人たちは思っていたかもしれません。
これを解いたのがかの有名なオイラーさんです
それでタイトル通り、オイラーの「解き方」がすげーって思ったんですよ。
とても鮮やかなんです。わかってしまうととても簡単で高校生でも理解できるほどに発想そのものがシンプル・・・
〇オイラーの解法
さて、オイラーは一体どうやってといたのでしょう?
一言でいうなら
”べき関数の係数比較” といえます。
さら付け加えるなら、
”sinx を 2通りのべき関数で表現し、それぞれの係数を比較する”
という方法です
〇そもそもべき関数とは?
べき関数といわれてピンとこない人いませんか?
まあ、自分がそうなんですが
”べき”というのは「なんとか乗」という意味です
つまり、べき関数というのは・・・
ということになります。
僕らが学校で最初に勉強するような簡単な関数というわけですね。
一般化をするなら・・・
となります。
〇sin x をべき関数として表現する方法その1〜テイラー展開〜
テイラー展開というのは複雑な関数を
べき関数に近似する方法です。
ただ、どんな関数でも出来るわけありません
その条件については次の記事を参照してください↓
幸いなことにsin xは条件を満たしているので
可能です。
テイラー展開の具体的な話は別の記事で話させていただくとして、結果だけ述べると、
こうなります。
xが0ではないものとして、
両辺をxで割ります。
これでその1の方法は終了です。
⚪︎方法その2〜関数の因数分解〜
こっちのほうが知識としては高校の範囲を超えていなく、わかりやすいと思います。
たとえば、つぎの2次方程式は…
となるので左辺を関数とみなした場合
と変形できます。
これと同じことをsinxでやろうというのが
その2の方法です。
sinx = 0
を解くとつぎのようになります。
x = nπ (nは整数)
すると…
sin x = x(x-π)(x+π)(x-2π)(x+2π)....(?)
と変形できますがこれは少しまずいところがあります。
それはこの関数が単調増加しまっていることです。
皆さんご存知の通りsinは-1から1までになっています。
この場合xを大きくしていくと1より大きくなりそうです。
なので、つぎのように因数分解をします。
sin x = x(1-x/π)(1+x/π)(1-x/2π)(1+x/2π)....
もう少し、変形しましょう(1-x)(1+x)=1-x^2
を使います。
sin x = x(1-x^2/π^2)(1-x^2/4π^2).....
x(0ではないとする)で割って
sin x/x = (1-x^2/π^2)(1-x^2/4π^2).....
とこれで準備が終わりました。
⚪︎2次の項の係数比較
さて、ここでこの2つの2次の項を比べます。
テイラー展開のほうは -1/6
因数分解のほうは -(1+1/4+1/9+・・・)/π^2
これらから
となり、πの2乗を6で割った値に収束することがわかりました。
有理数の足し算なのに結果が無理数になるのに違和感をもつと思いますが、
無限を扱うと直感に反することがよくあります。